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奥出直人のJazz的生活


by naohito-okude

KBC Brand-New Challenge

9月19日土曜日

慶應の学生の団体がデザイン思考でなにかをつくるという合宿をやって
その成果発表を五反田の大日本印刷の場所で行うので、12時から夜7時くらい
までつきあった。坂井さんと平田さんと僕がデザイン分野からこのコンペに審査員として参加。

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この試みはKBC Brand-New Challengeと言って、今年で2回目のプロトタイピングコンテストである。プロトタイピングとはプロトタイプ(試作品)をつくることで、デザイン思考を用いてチームごとにプロトタイプを作製し、その出来を競うものだ。6日間、合宿をして成果を発表する。

http://www.keio-contest.org/brand_new_challenge/about.html

http://www.keio-contest.org/brand_new_challenge/summary.html


審査委員は

坂井 直樹
コンセプター / 株式会社ウォーターデザインスコープ 代表
慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 教授

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平田 智彦
株式会社ziba tokyo
代表取締役

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宮地 恵美
株式会社MMインキュベーションパートナーズ
代表取締役

森 靖孝
メンター三田会
会長代行

早めに集まって概要を説明したパンフレットを渡されたが、その水準にびっくり。Webにあげるように助言。デザイン思考のプロセスを説明した本は『創造する会社』と僕の『デザイン思考の道具箱』があるが、それをよく勉強した上に、さらにワークショップを運営していくファシリテーターの役割を自分たちでしかりと出来るように考え、また準備している。加えて、実際にワークショップを行った。具体的なプロセスと活動の記録をまとめると、ちょっと他にはない素晴らしい記録になる。

僕は昨年に引き続き審査委員長である。昨年頼まれたとき、実はちょっと面倒だなと思った。デザイン思考の入門といってもSFC時代は半年15回かけて教えていたし、KMDになってからも週2回で13回続けて教えている内容だ。KBCの場合も合宿をしたりして実質的な時間は結構使っているのだが、はたしてそれで出来るのだろうかという危惧があった。ところが結果はびっくりするほど水準の高い発表が続いた。今年は楽しみにしてきた。

テーマは身体を洗う。21世紀は身体性をどうデザインしていくかが課題なのでなかなかいい選択だ。発表は4チーム。詳細は今後の知財の取り扱いなどがあるから省略するが、基本的に着眼点とイノベーションをおこなう手際は非常にいい。というかプロ並みだ。審査する側の質問もするどくなる。
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1: チームインセンティブは手を洗うという行為に注目してプロダクトを提案。5感を直接扱うアプローチは秀逸。坂井さんは「プレゼンの時は自分の提案の強みだけではなくて弱みも言うのがプロなのだが、君たちの弱みは?」と鋭い質問。平田さんは提案された形をみるとプロダクトデザイナーとして気になる点があると、質問。僕はアイデアの数が少ないので提案に深みがないとコメント。しかし、この審査員からこのレベルのコメントを引き出すのは凄いよ。

2: チームアケトコは、非常に斬新な手洗い方法を提案。平田さんは手洗いの効果を視覚化する戦略について、坂井さんは手洗い以外は考えなかったと質問。僕はプロダクトのイノベーションは完成しているので、次のサービスイノベーションを、とコメント。このチームは最優秀賞をとった。



3: チーム新事業はお風呂で使う新しい仕組みを提案。おもちゃで楽しいのか、教育目的なのか、という問題があるというのが僕のコメント。平田さんは見るところとするところのデザインの詰めが甘いとレビュー。坂井さんは子供は何をやっても飽きるがその対策は、と質問。

4: チーム ハッピーイノベーションはバスルームと洗面所の間の空間に注目。市場ポテンシャルの非常に高いところを攻めた。

総評を知財に触れない範囲でまとめると、

平田さん
1:うまくするとひっとするかもしれないけど、アイデアの広げ方が少ない。5感に注目したのが言い。
2:良くできていた。方法が面白い。色が付くことがメリットに変わっていくところがおもしろい。
3:ご褒美とでてきたところが>>浴育がよかったが、大人でも楽しめるやり方がある。どちらで行くか。いろいろ可能性がある
4:洗いストッパーは面白かったが、もっと感覚的な満足があったのではないか。アイデアの検証は他者をみるだけではなくて、自分でも体験して確認をしないといけない。

メンター三田会 森さん
1:5感ストラップ。着眼は言い。だが解きたい問題は何だったのか?女子高生の反応?
2:着眼点はいい。実用化までは難しいのではないか。
3:お風呂を楽しむ>>あるいは浴育か?
4:着眼点はいいが、掘り下げが足りない。

宮地さん
1:小さくまとまっている。高校一年生すぐ売れるか
2:普及の戦略がいろいろありそう
3:風呂場をたのしく:プロトタイプをつくったのがいい。
4:着眼点が非常にいい。自分が使っていないのが問題

坂井さん
1:水道や洗剤のないところでも綺麗になる:ターゲットが狭い
2:とてもいい。色の変化で清潔のレベルが伝わるようになればいい。
3:先におもちゃありき>>プロト能力はいい
4:ソリューションのバリエーションがもっとあるのでは。

慶應の学部全体から学生が参加していることでよりイノベーションのレベルが高まっていく。この学生の活動はこれからが楽しみだ。最優秀チームはビジネスモデルのコンペに挑戦することになった。イノベーションしたプロダクトとサービスを持っているチームがビジネスモデルを考えることはとても素晴らしいと思う。
コンテストの総評と表彰式の写真を載せておく。

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by naohito-okude | 2009-09-21 00:05 | 講演会・展示会