奥出直人のJazz的生活


by naohito-okude

<   2009年 12月 ( 8 )   > この月の画像一覧

これから暫く21世紀ジャズについて考えていきたい。

1970年から2009年までほぼ40年。この間のジャズの音楽としての展開が十分消化されていないのではないか、というのが執筆の動機である。ジャズ批評の形をとっているが、もっと具体的には自分の耳の再訓練つまりは演奏家としての自己変革のために書いてみたいと思う。アマチュア演奏家である、念のため。

Jazz的生活の中の過去エントリーで
Inner City Jam Orchestra Party

Softwind 高木里代子ライブ


秋吉敏子 ライブ


でいくつかもやもやとしたところを書いた。そのあたりを少しずつ考えていきたい。

DownBeat 誌の2010年1月号で 2000年代のベストCDという特集があった。21世紀ジャズにむけてでは、まず手始めに、このなかで星五つを過去10年でとった100枚ほどのCDやDVDを紹介、議論しながら、70年からのジャズ史の構築と音楽としてのジャズの展開の方向性、技術と表現の問題あたりを論じていきたい。

c0202370_19383834.jpg


さて、この特集の中で、ジャズミュージシャンは2000年代をどう振り返るか、というコラムがあった。非常に参考になるので、この意見をまとめて、21世紀ジャズにむけての始めとしたい。

Eric Alexander

四拍子や三拍子ではないリズムで演奏をすることを好むようになる
単純で力強い即興演奏が好まれるようになる
いままで一緒に演奏されたことのない異質の音楽が一緒に演奏されるようになる。

Uri Caine
いままでにないような音楽の組み合わせで即興演奏をすることが試みられるだろう。
インターネットを使って作った音楽を配信するようになる。
またYoutubeなどで昔のジャズを勉強したり、いろいろな音楽を経験することが出来るようになる。
これが音楽を変える。

Peter Erskine
ジャズマン自身が録音して作品を流通させる「音楽ビジネスの民主化」の動きは止まらない。
ビジネスマンの意見に従わなくても作品を聴衆に届けることが出来る。この仕組みからどのように金銭を得ていくかが大きな問題になる。Fuzzy Musicでは利益を出しており、音楽家にも音楽の制作に関わった人にもそれを配分している。

http://www.fuzzymusic.com/
Nels Cline

ジャズの本質はライブにある。レコード産業が衰退にあることは確かだが、ライブ演奏やツアーの中に未来の音楽の可能性を見るべきではないか。またライブ演奏をインターネットでストリームして遠隔地にいるファンに演奏を聴かせることも可能性として考えられる。ミュージシャンが全部一人でやれば道は開ける。

Dave Douglass

音楽の未来は安泰である。なぜならミュージシャンは自分自身で音楽チャンネルを作って販売することが出来るからだ。そして魅力的な音楽家が増えている。多くの音楽家がどんどん学校を卒業してくることで供給過剰になるという考えは間違っている。より良質の技術をもった音楽家には多くの可能性があるのだ。

John Hollenbeck

現在録音されている音楽は量的には多いが、クオリティは低い。品質の高いグラフィックス、良い音質の録音、胸を打つ音楽を作るには時間をかけなくてはいけない。

Julie Hardy

音楽の聴衆がグローバル化して純粋なジャズファンが減っているので、ジャズはインディのロックやヒップホップ、R&D、あるいはワールドミュージックと融合して行かなくてはならない。ジャズ音楽家が演奏したい音楽と聴衆が聴きたい音楽が変わってきているのだ。

Mike Maineieri

音楽家であり、音楽教師であり、レコードレーベルの経営者であるということは利害が対立するということだ。ツアーにでると、会場でCDを売っているが、いろいろな人からCDを渡されて意見を求められても50枚60枚というCDを聞く時間はない。なのでMP3ファイルで音源を送ってくれと音楽家に言う。一方レコード会社の経営者としてはダウンロードが普及するとビジネスの先行きはよくないなと思っている。音楽家同士がインターネットで連携をとって共同作業を進めていく、といったことが必要になってくると思っている。

Christian McBride

ここ10年の大きな特徴はインディペンデントのレーベルが増えていることである。大きなレーベルはビジネスが出来なくなってきている。自分でレーベルを作って音楽をインターネットで流通させる。結果、よい音楽が沢山作られているがそれを見つけ出すことが難しくなってきている。音楽家が自分で聴衆をみつけるゲリラ戦を行わなくてはいけない。プリンスはこの活動をずっとまえに始めたていた。

Larry Godlings

ここ10年良いアルバムがたくさん売り出されたが、いいものを探すことが非常に難しくなってきている。テクノロジーは音楽を制作する作業は安価かつ安易にしたが、このことがジャズにとって良かったかどうか疑問だ。

Arturo O'Farrill

ジャズが政府や大学から正統なものであるという承認を取り付ける活動はあまり好きではない。自己目的的になって聴衆を失う。地元のライブハウスを支援し、自分自身のレーベルを持ち、フリージャズ、エレクトリックジャズ、ワールドミュージックとの融合を考えるジャズ音楽家から本物のジャズは生まれる。ジャズは進歩して行かなくてはいけない。

Danilo Perez

過去10年は独立レーベルとグローバルがトレンド。多くのCDが自宅録音かライブ録音となった。結果ジャズのCDは膨大な数になった。その一方でジャズのCDの音質は全体的には劣化した。機器の高性能化低価格化で自宅録音の音質向上に今後は期待したい。またグローバル化のなかで、エレクトリック音楽、民俗的音楽、動物などのサンプリング、などなどエキゾチックな要素も取り込んでいくべきだ。

David Murray

ジャズはどんどんわるくなっている。マーケティングの下で何をやっていいのかが見えなくなってきている。音楽にはオリジナリティが必要だ。バークレーでならうことは始まりに過ぎなくて、目的ではない。ニューヨークのジャズシーンでは何ら創造的なことは起きていない。有名になることばかり考えている。もっと深くジャズの事を考えてもらいたい

Bobby Broom

2000年になって以来、ジャズのスタイルが多様化してきている。伝統的なジャズを称えつつも、ジャズ即興演奏のインスピレーションを様々なところに求め始めている。ジャズとヒップホップ、さまざまなエスニック音楽との融合などがはじまっている。アメリカンソングブックに新しい歌を加えようとする活動もあり、またスウィングやブルースの興味も復活してきている。ラジオ放送局が何を放送しているかを調べて、これから何が起こりそうか見るべきタイミングだと思う。

さて、こうして並べて意見をみると、

1: 録音技術が進歩して、自宅でも録音ができるようになった
2: インターネットが進歩して自分で配信できるようになった
3: CDビジネスは衰退しているが、良い音楽を聴きたい聞き手に届けるビジネスシステムが未整備
という問題に加えて、
4:ジャズにグローバル化が押し寄せていて、様々な音楽と融合していく必要がある
5:ジャズと電子音楽を組み合わせた方向にもっと積極的に出て行く必要がある
6:フリージャズも取り込んでいく必要がある。


といった時代的な変化を感じていることが分かる。では2000年から2009年にかけて、ジャズを聴く耳、演奏する意識はどのような方向性を示していたのだろうか。暫く、網羅的に聞いてみたい。お楽しみに。
[PR]
by naohito-okude | 2009-12-27 19:51 | 21世紀ジャズ
Invisible Man

病院からでて、ハーレムに戻って、疲れて倒れたところを親切な女性マリーに助けられる。
そのあとメンズハウスと呼ばれるアパートに戻る。
黒人達がアメリカ社会の中で無意味な夢を見ている様子が適切に語られる。
アングロサクソン銀行家の様な服装をして、読みもしないウォールストリートジャーナルを抱えると言ったカリカチュアは、そのような服装をまとっている人間も含めて、奥の深い問題である。『アメリカンポップエステティックス』で詳しく述べたところだ。

そのアパートをでて親切な女性マリーの家に。
本を読みただ過ごす日々。家賃をはらえなくなるが、マリーはそれでいいという。ある時、焼き芋を売る男にある。南部の料理の記述が素晴らしい。南部の黒人文化を見つめる、という視点が迫力をもって語られる。

ここでCD7枚目の終わり。

8枚目で、主人公が街を歩いていると、evacuation強制撤去の現場にであう。
白人の男性がやってきて、黒人の女性を立ち退かせようとしている。
主人公は突然、アジテーションをして暴動を引き起こしてしまう。
警察が来る前にその場を屋根伝いににげていくと、Brother Jack という妙な男にであう。
共産党のグループのリーダーで、仲間に紹介される。
ブッカ・T・ワシントンの様な黒人リーダーに鳴って欲しいと言われる。

共産党の連中のパーティに行くと、Brother Jackが住んでいるアパートが豪華で、そのパーティで他の仲間から黒人は歌がうまいんだろうと言われたりする。Brother Jackは「そのような無意識人種差別はゆるさない」と」発言したりする。彼らの仲間になることを条件に、アパートと300ドルの一時金と給料を与えられる。そこから100ドルをマリーに渡して、マリーの家を出る。

彼らが借りてくれたアパートに行く。随分と立派な部屋である。集会での1回目の演説をする。この演説の記述も朗読も素晴らしい。主人公は演説の才能にめざめていく。だが、科学的な理論を標榜する共産党にふさわしくない感情的な演説だといういけんと、人をうごかすいい演説だという意見にわかれる。

共産党には理論と実践が必要なのに、理論ばかりの腰抜けが多い、とジャックが主人公の演説を批判した人を逆に批判する。主人公は演説がうまくいったので、誰か記録しておいてくれたらいいなと思う。

ラルフ・エリスンの小説は全編、黒人の演説や話術が活字でちりばめられており、どれも素晴らしい。朗読をしたときに、そこに生きた演説や会話が浮かび上がる。この筆力こそが、彼の小説の魅力だ。

とはいえ、主人公は4ヶ月、共産党イデオロギーの訓練をする。そのための教師がつけられてアパートで学習が続く。そして、ハーレムへ配置される。大衆を組織して革命を起こすためだ。そこで、黒人の共産党主義者に会う。

街に出て行くと暴漢に襲われてけんかになる。そこで、アフリカから黒人文化至上主義者にあう。彼の主張に心が動かされる主人公。ここまで聴いた。朗読に引き込まれていく。

CD10枚目の最後だ。
これから後半に向かっていく。
[PR]
by naohito-okude | 2009-12-24 12:08 | 外国語
12月20日

今週はちょっと抜けたが6回、音読をした。清岡氏の『フラ語入門』はコンパクトに一冊になっていて、さらにCDが付いている。初等文法を音声付きで勉強できるというのは本当に凄いなと思っている。外国語学習法には大きく分けて二種類あり、ラテン語教育に由来するといわれる文法訳読法(Méthode grammaire-traduction)とナチュラルメソッドと呼ばれたりする直接法だ。もともとは文法訳読法が主流で文法規則を論理的な形で提示して、それを使って母語と習得する外国語のの翻訳を双方向で行なう。まあ伝統的な学校での外国語学習の方法である。演繹的な方法だ。もう一つは、ひたすら言語の流れの中において、学ぶ。こちらは帰納的だ。こうした過去の方法の限界が解決するのではないかと、ちょっと思った。楽観的過ぎるかな。

外国語を教える方法論の問題は面白くて、もっと自由に演繹法と帰納法を組み合わせたらいいと思うのだが、結構教授法を提唱している人はかたくななのだ。実は教育学の「方法」ってこうしたものがおおくて、「専門家」が主張する「科学的な方法」って、科学哲学から観ると全然「科学的」でないのに、専門家の意見として通っている。大手の教育系の会社もその主張の根拠は科学的には結構やばいなあという気がする。科学的でなくても効果的な方法はあり、でもそれが効果的かどうかはまあ人によって違うこともあり、いってみれば主観的な世界なのだ。でも外国語に限らず、新しく身体的な能力を身に付けることは可能であり、経験則としていろいろと言われている。上手にお稽古すれば確実に旨くなる。それだけのことだ。茶道や書道、など〜道が付く世界はまさにそうだ。

考えてみれば分かることだが、言語は実践の中で身に付けていくものだ。一つの身体的技能が身につくまでに3000時間と言われている。俗説かもしれないが、一日一時間レッスンをして10年でなんとなく一人前になる習い事を考えてみると分からないでもない。一日1時間で10年なら3時間で3年ちょっと、一日10時間やれば1年。6時間で2年弱。そんなもんだろう。問題はいかに上手にこの訓練期間を乗り越えていくか、である。大人のための英語講座で紹介している国弘さんや行方さんの方法はこうした実践的な見地から描かれている。それにくらべて「教授法」は奇妙な世界だ。

伝統的な方法はGrammar-Translation Methodで、文法を覚え、単語を覚え、外国語を母語にして、母語を外国語にする。この方法が批判されたのはなぜなのか?まあ一番簡単な理由は話せるようにならない、だろう。そこでNatural Method(ナチュラル・メソッド)という方法が提案された。母語を学ぶように外国語を学ばせようとするものだ。有名な方法は、ベルリッツ (Maximilian Berlitz)で、ヒアリングを徹底して教えてからスピーキング、リーディング、ライティングへと入っていった。だが、いくら聞いても大人は聞こえるようにならない。大人はいくら聞いてもしゃべれるようにはならない。ここを改善しようとした方法がAudio-lingual Approach (AL法、オーラル・アプローチ)、いわゆるミシガンメソッドである。20世紀初頭における構造言語学と行動心理学を後ろ盾として、C. C. フリーズ(Fries)によって体系化されたという。Teaching and Learning English as a Foreign Language by Charles C. C. Fries: Pub. Date: January 1945が有名な本だ。彼が準拠した構造言語学では言語を本質的に音声であり、音、語、文の「型」によって構成されると考えている。また、当時はやっていた行動心理学では習慣は刺激に対する反応の繰り返しによって形成されるとされていた。なので、これら二つの考え方を基礎としてパターン・プラクティスを組み立てた。 パターン・プラクティスとは、例えば「私は本が好きです」、という文に対して指導者が「りんご」などのキューを与え、「私はリンゴが好きです」といった文に変形させる、とWebで説明があった。学習者は自動的かつ即座に正しい英文が出てくるまで繰り返し練習する。いまでも出版されている『アメリカ口語教本』などがこの方法を使っているが、退屈で続けるのが大変。

またパターン学習で本当に表現が出来るようになるのか、という本質的な疑問もあるという。Wikipedia「英語教育」から引用すると、「具体的には、教える側は正しい文の模範を提示し、学ぶ側はそれを復唱する(模倣: Mimicry-Memorization)。次に教師は新たな単語を生徒に提示し、生徒はそれを用いて同じ構造の文章を作ってみる(代入:Substitution)。AL法では(ダイレクトメソッドでは)、明示的な文法の解説は行われず、単純に「型」(パタン:Pattern)の記憶という方法が用いられる。パタン・プラクティス(Pattern Practice)と呼ばれる特定の文構造の練習は、それを自動的に用いることができるようになるまで続けられる。この方法では、授業は一定の反復練習に基づいて行われ、学習者が自分から自由に新しい言語パタンを生成するような機会は方法論的に忌避される。教師は言語ルールに基づいた特定の反応を期待しており、生徒が否定的な評価を受ける結果をもたらしてしまうような働きかけは行わない。」とある。

演繹的方法でだめだからといって、徹底的な帰納法で教えようとする。実はフランス語はアテネ・フランセなど語学学校で学ぶと直説法である。また大学では、今は知らないが、僕が大学生だった頃(35年くらい前。時間が過ぎるのは早いね)は上智大学が直説法で教えていて学生はあっというまにしゃべれるようになっていった。(がそのあと、すぐ忘れちゃうんだよね、と上智で学んだ人が言っていた。)この徹底した帰納法に対して、もうすこし緩い方法がでてきた。これがCommunicative Approaches(コミュニカティブ・アプローチ)である。これは欧州評議会の提唱する「ヨーロッパの成人学習者のためのコミュニケーションに必要なシラバスに基づく教授法」であり、コミュニケーション能力を次のように定義して学ぶことを提唱している。

http://en.wikipedia.org/wiki/Communicative_language_teaching
によると、

1)文法力(grammatical competence):文法的に正しい文を作る力
2)社会言語能力(sociolinguistic competence):社会的な事象(身分、上下関係など)をふまえた文を作る能力
3)談話能力(discourse competence):論理的な文の流れを作る能力
4)戦略的能力(strategic competence):状況に合わせて表現を変えていく能力。

この方法はいま非常に人気があって、大学の語学教育再編というとすぐこれになるが、僕は非常に懐疑的だ。なんというか、人間の言語能力を冒涜している気がする。人間が存在することと言語の問題はもっと奧が深い。母国語が剥奪された状態で外国語で自己表現をしなくてはいけない状況で、ぎりぎりで表現行為をおこなって生きていく。こうしたことも可能なのだ。コミュニカティブ・コンピテンスを提唱したデル・ハイムズはこのあたりまで考えていたと思うが、実際に運用されると、なんだか存在に深みのないネイティブスピーカーが適当にコミュニケーションをファシリテートしている。これとディベートを組み合わせた授業なんて、なんだかいやな感じだ。もっと真摯に言語の問題に向かい合って欲しい

まあ外国語の学習方法の背後にある植民地支配とか移民同化政策とかそいういった政治的な問題もしっかりと議論しなくてはいけないのだが、それはまたの機会にしよう。

さて、こうした「科学的」教授法とは別に、実践的な方法もいくつかある。たとえば、オーラルメソッドである。これは音声学的な立場から子音、母音、音の続き方、強弱、抑揚などを何度も練習させて学ばせ、語、語句、文の意味を直接音に結びつけていく方法である。いわゆる音読主義の御先祖様だ。Wikipediaにオーラルメソッドの項目があるが、考案者はハロルド・E・パーマー(Harold E. Palmer 1877年3月6日 - 1949年11月16日)といって、戦前の日本の英語教育に大きく貢献した人とある。なるほど。

さて、日本の英語の教科書はパーマーの影響で、実際の指導技術にまで細かく配慮して作られているという。日本の英語教科書は彼の指導でまとまりのある文章を中心として構成されていて、中・高等学校の授業では定着した授業手順となっているという。国弘さんが日本の中学校の教科書を薦めるわけだ。うーん、では何が問題なのだろうか。音をきちんと学ぶことが出来ていなかったのだと思う。試験による選抜のメカニズムに組み込まれてじっくりと音読する方法が定着しなかったのだ。それは今も同じである。もったいないことだ。

実践的な語学教育として効果があると言われているものにASTPがある。これは" Army Specialized Training Program(陸軍特別研修計画)"の略で、アメリカ陸軍の兵士を対象にしたプログラムとしてはじまった。アメリカ人で戦後日本文学の研究者になった人などはここの卒業である。これは歴史上唯一効果があったとされる教育法である。。第二次大戦中の1943年に、ペンシルバニアやイエールなど諸大学の協力を得て、ASTPが開始された。その学習環境は外国語学習に適したものだと今でも言われており、1日の全てを外国語の学習にあてて、クラスも多くとも10人という少人数クラスだったという。口頭練習を指揮するネイティブ教員は、drill masterと呼ばれていたという。反復練習のための練習問題つまり、drillを徹底的に行ったのである。

WebでASTPの説明をしているいくつかのサイトからの引用だが、

(1)常に少人数のクラス

(2)毎週10~25時間の授業で、Intensivに行う

(3)指導者は理論と実際に関して特別訓練を受け養成された者、

かつ、その外国語が使用されている地域に永く在住したか、 NativeSpeakerなアメリカ人。

その他にクラスごとに2名のNativeSpeakerがDrillMasterとして補助にあたる。

(4)初期にはSpokenLanguage(聞き方話し方)に重点。

(5)その後読み書き。

(6)口頭での言語運用機会を最大にする。

(7)外国語の学習に関連する風俗や習慣をも指導。

この際、利用しうるあらゆる視聴覚的教材を活用する。

(8)期間は通常6ヶ月。場合により延長して1年間コースを受ける。

短期間に集中的に訓練を行うため、IntensiveMethodとも呼ばれることもある。

出典は大沢 茂 『現代の英語科教育法』 南雲堂 1978とのことだが、まだ確認はしていない。

要するに、言語を音声を主として学習しながらも、同時に文字言語の学習を並行して行い、時間をかけた、ということですね。方法論的にはあたらしくない、といわれていますが、まあ外国語習得方法に科学的な方法なんて無いと考えた方がいい。で、もっと大事なことは語学教育は植民地化とか移民同化政策とか、文化輸出戦略とかに深く関わっている。そこを深く理解した上で言語の問題に向かっていく必要がある。僕らは外国語とどうむきあうか、ということですね。ここは難しいところだ。

で、『フラ語入門』に話は戻る。この本はGrammer-Translation Method(文法訳読法)だが、エクササイズにパターンプラクティスっぽいものが入っている。なのでここはとばす。CDと本を合わせて使うと、例文の意味を日本語で説明してくれる。そのあと、例文が読み上げられる。『フラ語入門』のCDとテキストを使って音読していると、フランス語の文法を日本語で言葉の意味を確認しながら、音で身に付けていくことが出来る。こんなに素敵な方法が40年くらい前には不可能、あるいは特権的な状況でないとあり得なかったわけである。いや、世の中、変わったね。この本も最初はCDなしだったようだし。この方法でどこまで外国語を学ぶことが出来るか、暫くやってみることにする。
[PR]
by naohito-okude | 2009-12-22 08:45 | 外国語
シンガポールに来ている。雑誌に2010年シンガポールの見所という紹介があって、丁寧に観ていたら今のシンガポールがとてもよく分かった。大規模に都市開発が行われていて、一方でポップカルチャーからアート、クラッシック音楽までいろいろな動きがある。雑誌はTime Outという。
c0202370_7434288.jpg


下記に100を紹介する。URLをつけておいたので、クリックするだけでシンガポールの今がかなり楽しく理解できる。

来年したいこと100

1:Battlestar Galacticaに乗りたい

http://www.rwsentosa.com/
2010年にできるシンガポールの新しいファミリーリゾートの新しいライドに乗りたい。この開発は大規模ですごいなあ。

2: Food
Jai Ho!というインドのポテトサラダを食べたい

3:Food

Willi Lowの新しいレストランで食事をしたい
Willi Lowは弁護士からコックになった。

http://www.wildrocket.com.sg/

サイトを見るとかなりいい感じ。

4:お買い物
新しいショッピングモール、Mandarin Galleryで買い物をしたい。

http://www.oue.com.sg/

5:旅行

Jetstarでアジアを旅したい。
www.jetstar.com/sg
飛行機旅行のイメージを大きく変えているジェトスター。たしかにこの会社をつかって旅をしてみたい。

6:街角

第2回シンガポール入れ墨大会
Web見あたらず。

7:映画

デザイン映画フェスティバル
建築から写真に至るまで様々なデザインに関する映画の上映会。

http://www.designfilmfestival.com/singapore/
かなり面白そう。

8:音楽
パンクバンドGreenDayを聞きにいきたい。
http://www.greenday.com
これはともかく、チケットは下記から買う。

www.sistic.com.sg
シンガポールのチケット会社。
見てるだけでも面白い。

9:音楽
The Killerを聞きに行きたい。
http://www.thekillersmusic.com/

10:音楽
Mosaic Festival に行きたい。
シンガポールのもっとも評判のいい音楽イベントである。
htpp://www.mosaicmusicfestival.com.sg
ここで紹介されているミュージシャンは豪華。
http://www.mosaicmusicfestival.com/2010/microsite/hmc_breakestra.html
3月に10日ほどだが、なんだか凄いのがくるなあ。

11:パフォーマンス

M1 Singapore Fringe Festivalに行きたい。
様々なこころみをするフェスティバル。
www.singaporefringe.com
最初の挨拶の所を読むと、順番にちゃんと読んでくれよ、と言っている。メッセージ性が強いね。

12:パフォーマンス
Simply Ballroomに行きたい。
ステージで華々しくダンスが展開される。
場所はインドアスタジアム
http://www.sis.gov.sg/
いろいろなイベントがあって楽しそうだ。

13から15:こんなデジタルガジェットが欲しい
Video Games
Xbox, PS3, Wii
まあこの辺はかわらず。
Tablet computers

3D television
あまり期待は出来ないね。

人気が出てきている界隈を紹介しよう Hit the hip 'hoods'

16: North Sembawang
http://en.wikipedia.org/wiki/Sembawang

地下鉄の駅が出来て、そのまわりに高層のアパートが建つという形で住宅地が展開している。

17: North-East: Punggol
http://en.wikipedia.org/wiki/Punggol
1997年の経済危機以来開発が止まっていたが、再開された。シンガポールでIT技術者など高度な職業について働く外国からの若い夫婦が子育てをしながら生活を始めている。シンガポールの国籍が取れたらローンを借りて別の所に家を建てたい、という希望を持っていたりする。

18: North-West: Bukit Panjang
http://en.wikipedia.org/wiki/Bukit_Panjang

19: Central: Little India
一番人気が出てきている。
http://en.wikipedia.org/wiki/Little_India,_Singapore

リトルインディアは古い街区。ここに注目が集まっているのは面白い。シンガポールは肉体労働の多くを外国人に依存しているが、多くのお手伝いさんも外国人だ。彼女たちが休日にあつまるのもリトルインディアである。

20: パフォーマンス

Sexy Magic/Urban Illusionに行きたい
手品からストリップまで盛りだくさんのショー。
http://www.stjamespowerstation.com/
上記の会社はシンガポールに14カ所ライブハウスをもっていて独自にショーを展開している。じっくり見るとなかなか面白い。

21:スポーツ
Safra Aventuraに参加したい。
スポーツ大会
http://www3.safra.sg/
会員制のクラブが主催する大会。

22:Time In テレビ番組

SingTelのmioパッケージが欲しい。
テレビ放送が終わった後も番組を見ることが出来るサービス。
http://mio.singtel.com/miotv/#coverage
テレコム会社のサービスの試みとして、おもしろい。

23:Time In

HBOに加入したい
http://www.hbo.com/
HBOのサービスも随分と充実してきている。
日本じゃ分からない。

24:旅行

Tigar Airwaysに乗りたい
シンガポールから香港まで38シンガポールドル

http://www.tigerairways.com/
リージョナルジェット。この感覚をはやく理解しないとなあ。


25:街角

Chingay Paradeを見たい。
コスチュームを着て、踊りながらパレードをする。
http://www.chingay.org.sg/
派手な催し物だ。規模も大きい。


26:KIDS

Safari Zoo Runに参加したい。
シンガポール動物園で走ろうという催し。
http://www.safarizoorun.com.sg/
結構大きなイベントだ。

27:音楽

MUSEを聞きに行きたい。
http://muse.mu/

28:アート
UOB最優秀賞を見に行きたい。

29:映画

The Substation主催実験映画祭を見に行きたい。
http://www.substation.org
The substationは独立系のアートプロデュース団体で活動に注目していきたい。

30:KIDS

リゾートワールドSentosaのKids Clubに行きたい。
http://www.rwsentosa.com/
来年オープニングのリゾートワールド。前にも紹介した。2010年にオープンする大規模開発。

31:パフォーマンス

ジゼル(Giselle)を見に行きたい
シンガポール・バレー・シアターが公演をする。
http://www.singaporedancetheatre.com/
ヨーロッパの芸術とどのように折り合いをつけるか、注目だな。
場所はここ。クラッシック用。
http://www.vch.org.sg/

32:スポーツ

OCBC自転車大会に参加したい。
http://www.ocbc.cyclesingapore.com.sg/
これも大規模な市民イベント。

33:フード

Marina Bay Sandsの有名人シェフの料理が食べたい
世界中から6名の有名シェフがきて腕をふるう。
http://www.marinabaysands.com/
webをみたら建物のスケール感にびっくりすると思うが、カジノがはいって非常に派手である。この辺り一帯を堤防で囲い、淡水湖にする。そのことでシンガポールの水問題を解決する。その都市計画の一環としてつくったホテルである。2010年の開所。

34: ドリンク
あたらしいカクテルが飲みたい
http://www.prestigesing.com
この会社は面白い。お酒が好きな人にどのようにお酒を提供するかを考えているシンガポールの会社。

35:フード
Lazy Gourmentを試したい。
http://www.lazygourmet.com.sg/
レトルト食品の紹介。

36から41
音楽について。省略。

Hide and Eat
隠れ家的なお店を探そう

42:Sin Lee Coffeeshopで食事をしたい
かなりおいしそうだ。
場所が見つからない

43: Kuehs and Snacks
http://sparklette.net/food/kuehs-and-snacks/

44:Mooi Chin Placeで食べたい。

45:お買い物

2010 年オープニングのマニラベイでルイヴィトンを買いたい
マニラベイのヴィトンのお店は村上隆がフィーチャーされている日本の店に肩を並べる

46:旅行

Lon Lin Pengの新しいホテルに泊まりたい。
格好いいブティックホテルがリトルインディアに登場した。
情報が確認できていない。

47:街角

Duble Helix Bridgeが出来たので見に行きたい。

48: KIDS

マダガスカルへの旅に行きたい。
デズニー映画の「マダガスカル」が体験できる。
http://www.rwsentosa.com/
で。

49: 音楽

新しいコンサートの会場が出来る。
http://www.rwsentosa.com/

50:アート
普通の人でも購入できるアートが必要
情報なし。

51: 本
専用のシェフが欲しい
Ryan Hongが料理本を出す予定だという。
http://www.ryanhong.com/
このサイトもいい感じだ。

52から61
Marina Bay SandsResort World Sentosaの比較。
2010年はこの二つの大規模施設が稼働を開始する。

62:買い物
Parco@Milliniaでお買い物がしたい。

http://www.milleniawalk.com/
情報がうまく確認できない

63:旅行

ブッティックホテルが開業したのでとまってみたい。
http://www.harrys.com.sg/
シンガポールで30店舗を超えるバーやレストランを展開している会社がブティックホテルを準備している。

64: ナイトライフ

Gilles PetersonのWorld Wide Festivalという催し物を聞きに行きたい。

http://www.worldwidefestival.com/
なんだか不思議なグループ。

65: スポーツ

Martial Combatを見たい
Resort World Sentosaで格闘技の大大会がある。

66: 旅行

Mr.&Mrs Smithのガイドブックを読みたい。
誠実でユーモアに富んだホテルガイドブックがシンガポール地域をカバーする。
http://www.mrandmrssmith.com/
彼らはブティックホテルとラグジャリーホテル専門にレビューをする。
楽しそう。
日本にもまだきてないんだよね。

67: アート
写真展、CUT2010: New Photography from Southeast Asia
Parallel Universeを見に行きたい
http://www.vwfa.net/sg/

68: KIDS
動物園を探検する5日間のキャンプに参加したい。

http://www.zoo.com.sg/
シンガポールの動物園は相当楽しい。

69: Music

IMG Artists が主催するコンサートに行きたい。
http://www.imgartists.com/
IMGはアートマネージメントの会社。

70: クラッシック音楽

ロシアのピアニスト Katya Grinevaのコンサートに行きたい。

www.esplanade.com
この会場が凄いね。
場所のURLは下記。
http://www.esplanade.com/about_the_centre/index.jsp
行かなくては。

71: スポーツ

2010年ワールドカップを見たい。
スポーツバーでワールドカップサッカーを楽しもう。

72: フード

1-Raffles placeで食事をしたい。
http://www.onerochester.com
ここはなんとも気持ちの落ち着くレストラン。
このグループがCBDに進出してシンガポールで一番高いビルの最上階にレストランを構えるという。どうなるか。

73:街角

iFlyを試してみたい。
http://www.iflysingapore.com/
これは凄い。世界最大のスカイダイビングシュミレーター。本当に空中に浮かぶ。

74: 街角

Cable Carに乗りたい。
山の上にあるレストランJweley Boxに行くケーブルカーが修理中。なので復帰したらケーブルカーでレストランに行きたい。

http://www.mountfaber.com.sg/

75: 街角

園芸フェスティバルに行きたい
htpp://www.singaporegardenfestival.com
とても楽しそうなサイトである。

76: クラシック音楽
シンガポール大統領 SRナサンが支援をする若い音楽家のためのコンサートに行きたい。
SSO大統領による若い音楽家達のコンサート

http://www.sso.org.sg/

77: パフォーマンス

メルボルンインターナショナルコメディフェスティバルに行きたい。
6年ぷりにシンガポールに来る。非常に面白くて人気があって、チケットはすぐに売りきれる。はやめに。

http://www.substation.org
独立系のアートグループが公演をプロデュースしている。

78: パフォーマンス

Fried Rice Paradiseにいきたい。
ちょっと前のミュージカルが再演される。

79:〜81: フェスティバル情報
割愛

82: スポーツ

Youth Olympic Gamesを見に行きたい。
シンガポールで初めて開かれる。
http://www.singapore2010.sg/
かなり力の入ったWEB。

83:街角
シンガポールF1
これは大変。いかなくちゃ。
http://www.singaporegp.org/

84:アート
Singapore International Photography Festival に参加したい。
http://sipf.sg/web/

85: スポーツ

YMCA International Fencing Cupを観たい
http://www.ymca.org.sg/Web/main.aspx?ID=c1ddfe88-db14-4515-8aaa-c31deae3b4be,,&TargetPageID

86: パフォーマンス
眠れる森の美女(Sleeping Beauty)を見に行きたい。
http://www.singaporedancetheatre.com

87: 街角
犬用の公園がショッピングモールに用意されるそうだ。

88: 街角
第3回シンガポールおもちゃ、ゲーム、コミック大会に行きたい。
http://www.singaporetgcc.com/
これはとても楽しそうだ。

89:街角
Woodlands Promenadeに行きたい。
2010年に出来る1.5Kの海辺の散歩道。
http://www.ura.gov.sg
URA (Urban Redevelopment Authority)は変貌する現在のシンガポールを知るには注目しておくべき組織なのだが、ずっとWebのアクセスがうまくいかない。

90:街角

Fullerton Heritageにホテルが出来て、最上の水辺の眺めだという。
予約したい。
http://www.ura.gov.sg

91:街角
Urban Planningに興味がある

ScapeGRIDという名前のメディアをつくって、若者が「検閲」されるまえのコンテンツを発信できるようにした。ここにはアートギャラリーやレコーディングスタジオ、ダンススタジオもある。
http://www.scape.com.sg/
若者向けの場所の紹介。面白い。

92:街角
IONの屋上で空を観ながらパーティをしたい。
芸能人とかお金持ち専用パーティ会場。
http://www.ionorchard.com/
IONはオーチャード通りに2009年に出来たデジタルサイネージのかたまりの新しいショッピングモール。

93: アート

5 Sec Facesという写真展に行きたい。
http://www.flickr.com/photos/fivesecfaces

シンガポールのストリートで撮った写真展。出版の話もある。

94: アート

Marina Bayに出来るシンガポールで最初のアートパークに行きたい。

http://www.ura.gov.sg

95: アート
女性詩人の朗読のライブに行きたい。
http://www.scwo.org.sg/
スポンサーはシンガポールの女性の活動を支援する団体。しっかりとした組織。

96:パフォーマンス
Le Voyage de la Vieに行きたい
シルク・ド・ソレイユに対する極東からの答え。Resort World Sentosaで2010年の年末に。
http://www.rwsentosa.com/

97:パフォーマンス

FireSongsに行きたい。
Multi-sensaory, ubiquitous, geophysically?
なんだか不思議なミュージカルのようだ。2010年後半。

98:パフォーマンス
Comedy Club Asia
シンガポールの漫談の舞台。
http://www.thecomedyclub.asia/

99: パフォーマンス
The Substationの新しいディレクターに会いたい
シンガポールの独立系のアートプロデュース集団であるThe Suubstationの代表が新しくなった。
http://www.substation.org/

100: Time In

シンガポールで初めて作られた3Dアニメによるテレビ番組The Tritansを観たい。
2010年の終わりごろの予定。

以上である。いまのシンガポール事情経験してもらえただろうか。
[PR]
by naohito-okude | 2009-12-20 09:07 |
ラルフ・エリスンの「Invisible Man」を13章まで聴いた。あと何回か聴かないと細かいところは分からないが、非常に感動している。まず、いま僕は55歳だが、主人公が大人になっていく中で自己を確立する過程が、シュトゥルム・ウント・ドラング(独:Sturm und Drang)小説として、大人になっているので、距離を置いてみることが出来る点だ。黒人の知識人が自分のアイデンティティを確立していく過程は日本の明治時代の知識人が自己を確立する過程と似ていて、その複雑なメカニズムを「カウンターディスコース」として説明したことがある。(『アメリカンポップエスティティックス』)エリスンはそのあたりを超絶的な文章力で描ききっている。

19世紀20世紀の非西洋世界に生きていて、西洋文明の中で自己を確立することを要請されている知識人の有り様が描かれている。そうだよなあ、と同感すると共に、いま同じような環境で自己形成をしている20代の若者にエールを送りながらも、ここを頑張らなくてどうする、という気持ちになる。このあたりは追々、説明して行きたい。またカウンターディスコースの視点でエリスンを分析している本も見つけた。Kindleにダウンロードしてある。

もう一つの点はJazzだ。朗読をしている俳優の素晴らしさもあるが、文章がJazzだ。それもHarlemの黒人のJazzだ。洒落ていてビートがあって表現として至高の水準になっている。僕はかれこれ10年近く澤田靖司というジャズ歌手にジャズをならっているが、彼がここはこうゆう風に黒人歌手は発音してビートに乗る、と教えてくれるエッセンスがあるのだが、そのままである。このリズムを感じながらInvisible Manを聴くのは、至福である。Jazzが身体に染みついていて良かったと思う。Jazzマンが随所出てくるところもその雰囲気がよく分かる。本当に凄い作家だ。

さて、13章まですこし粗筋を説明しておこう。

Prologue

ここはちょっと難しい。地下室に1369個の電球をつけて住んでいる。このあたりは解釈がいろいろあるが、アメリカの黒人知識人の伝統のようなものもある。ニューヨークに出てきて、Alain LockeLanguston Hughesにあう。うーん、この二人についても説明したいところだが、後にしよう。ここでルイ・アームストロング"What Did I Do to Be So Black and Blue?"が導入される。これが素晴らしい。また前衛的な記述の中で音や色が提示される。ここの説明だけで、長くなりそうだ。とりあえず、耳に響きを残す。

第1章

大学に行くための奨学金をもらい、その授賞式に行く。お金を出すのは白人で、そのパーティは金髪の女性のストリップショーと、黒人青年のボクシングが見せ物であり、そこで戦うことを「奨学金」をもらっているのに、要求される。このむちゃくちゃな感じをグロテスク祝祭感覚によって、超絶的な文学テクニックで描いている。いまも権力と欲望が渦巻く世界はおなじようなものだ。エマソンはここを描ききる。ドフトエフスキーとエリソンが比べられる所以だ。また奴隷として生き抜いてきた祖父の誇りと奴隷制度への祖父の怒りを主人公が引き継ぐ神話的な記述もある。

第2章、第3章、第4章

主人公はアラバマ州のタスキギ・インスティテュートに進学する。ブッカ・T・ワシントンが作った大学だ。黒人は黒人の分をわきまえて、手に職をつけて、アメリカ社会の中で生きていくことを主張する。モダニズムを否定したワシントンの考えは批判されてきたが、手を使ってモノを作ることで機械がモノを作る資本主義の根本をひっくる返す可能性も実はもっている。これが序章で地下室で工作Tinkeringをしているイメージと重なる。しかし、黒人の場所を作り、白人からお金を獲得して、しかし魂は白人に売り渡さないという高度な生き方を、主人公は学べない。ボストンのエリートの白人(ノートン氏)を、近親相姦で娘に子供を産ませた男が住む家と売春婦達がいる場所(the Golden Days)につれていくなど失態をする。このあたりのエリスンの描写力は超絶的で、T.S.エリオットに匹敵すると言われる。

第5章、第6章

ここは強烈だ。大学にHomer A. Barbeeという牧師がやってきて、ブッカ・T・ワシントンを称える説教をする。黒人の牧師の教会での説教を文章にしている。ここもまた超絶である。ここの描写と朗読がなんとも胸に迫る。そのあと、今の学長であるBledsoe氏に主人公は会う。彼の人種と権力を巡る政治的行動に主人公は幻滅する。が、ノートン氏を引きずり回した責任を取らされて、退学になる。

第7章、第8章、第9章

主人公はニューヨークに向かう。二つの物語が錯綜する。ひとつは学長のBledsoe氏にもらった推薦状をもって職探しをする。その推薦状には「この男を世の中で活動させてはいけない」と書いてある。主人公のイノセンスが現れているところだが、能力があると上の者に認められたにもかかわらず、現状のシステムに収まることを拒否した若者が経験する、ある意味一般的な試練である。

もう一つは、1920年代30年代のハーレムに生きているジャズマンあるいはジャズ的生活をしている人に主人公が会うシーンである。確立した社会システムに受け入れられることを夢見ている一方で、自分を生かしたいとおもっているナイーブな主人公の前に、自分を生かして、いまある社会システムは関係ないよ、というジャズ的信条をもっている人が次々登場する。面白い。

第10章から第12章

主人公は生活費を稼ぐために工場で働く。ここはなかなか考えさせられた。工場で働くことの意味、みたいなことは今でも同じだ。素材を機械で加工して何かを作り出す現場は労働として非常に厳しい。その一方でその場を維持して生産をつづけるということは達成感があってやりがいがある。職人の誇りもここにある。搾取とは職人の誇りを利用して生産を行い、その利潤を生産を担った者に戻さない仕組みである。まあ資本主義はその構造だ。この生産の現場をエリスンは描き出す。この筆力は大変なものだ。主人公は事故にあってこの現場から去る。そしてハーレムに戻る。

このさき続く。
[PR]
by naohito-okude | 2009-12-17 23:43 | 外国語
昔からラルフ・エリスンが気になっていた。1981年にアメリカに留学したときに、ライブラリー・オブ・コングレスで彼の朗読を聞いたことがある。20世紀最大の小説家の一人だろう。Kindleの待ち受け画面に彼のポートレートを見て、まえから気になっていたことをやってみようと思った。

c0202370_21123455.jpg


それはInvisible Manをしっかりと読み込んで行うラルフ・エリスン研究である。大分前から手がけてみたくて本はそろえていた。だがなかなかの大物だし、アメリカ研究で博士号ととったとはいえ、20年以上前の話だし、いまはインタラクションデザインの研究をしている。だが、ジャズの専門家でもあるこの20世紀の大物の作品を深く考えないのもなんだなあと思っていたのだ。

そこでInsivible Manを購入してみた。読み上げ機能もあるのでそれをOnにして活字をおっていった。そのうちにKindleの読み上げ機能ではやはり感じが出ないと、Random House AudioからAudiobookを購入。
c0202370_2182718.jpg

c0202370_2183960.jpg

CD16枚。18時間30分。いま2枚目の終わりくらいまで聞いているが、なかなか感動。最初の箇所は前衛小説なのでちょっとイメージが掴みにくいが、回想になってくると文章は分かりやすく、快調。

朗読は俳優のJoe Morton。
[PR]
by naohito-okude | 2009-12-13 21:10 | 外国語
何回か英語で講義をしてきたデザイン思考ワークショップを英語の教科書にしようと作業を始めた。デザイン思考ワークショップは、僕が長年行ってきている授業を英語で集中講座としてワークショップ形式で行うために開発した。CRESTの研究支援を受けている。KMDとシンガポール国立大学が共同で設立したCute Centerの研究員に向けて開催した。この経験を元にGSのプロジェクトでワークショップを行い、さらにシンガポールのデザインカウンシル主催のワークショップとして三回目をおこなった。受講生は研究所の研究員、大学の教授、若手教員、プロのデザイナーなど多岐にわたる。アウトプットも非常に面白い。

c0202370_1261734.jpg



本の執筆に辺り、良い機会なので英語のブラッシュアップを行うことにした。実際の講義ではなんとなく現場で身振り手振りで乗り切っているところがあるのでそのあたりもきちんと文章にしておこうと、自分自身普段はいい加減にしている英語表現のツメの練習も含めて、ちょっと頑張ってみることにした。もちろんいくら頑張ってもいまの実力を短期で超えることは出来ないので、実際の執筆に当たっては二人の助っ人を頼むことにした。Cute Center の研究員であるMiliとYanYanである。最初は受講生として、二回目はワークショップの運営責任者として手伝ってくれたのでデザイン思考に関する理解は十分である。まずは大体の章立てを彼女たちに送った。これをもとに具体的に作業を進めることにした。

本の構成

本の構成を考えて、手伝ってくれるMiliとYanYanにメールする。

Introduction
chapter 1: What is Design Thinking
Chapter 2: Philosophy and Vision
Chapter 3: Ethnography Method
Chapter 4: Fieldwork Analysis
Chpater 5: Build to Think
Chapter 6: Final Presentation



一方僕の方の英作文力のブラッシュアップも始めることにした。

行方さんが『英文快読術』で述べている方法を使ってみることにした。

ラフカディオ・ハーンの雪女の電子ブックをamazonで購入。kindleで読めるようにした。

ステップ1 何度も音読
ステップ2 自分の力で翻訳
ステップ3 英語に戻る
ステップ4 原文と比べる

良い例文の暗記として
佐々木高政 『和文英訳の修行』 暗記用例文500

が彼の薦める方法だ。それでは始まり。

12月12日 第1日目

まずは朗読から。
1回通して読む 12分
2回挑戦。

c0202370_1215892.jpg


げ、このレベルは読むのは簡単。とはいえ、このレベルの英文はかけないよな。というわけでなので、読むのと並行して、自分の力で翻訳をやろう。それから英語の戻す。

佐々木氏の『和文英訳の修行』は大学院時代につかっていた。
c0202370_1175232.jpg


30年以上前。でも読み返してみると、なんだか身にしみてよく分かる。10づつやれば2ヶ月くらいだな。
iPhone アプリの「単語カード」を購入。Mac側で質問と答えをつくって、無線LANで同期。あっさりとフレーズ記憶カードが作れる。非常に便利。ついつい32番目まで作った。

c0202370_1182060.jpg

c0202370_1222516.jpg


道具を使っているのが楽しいのか勉強が楽しいのか、といえば道具が先行しているような感じもするが、うまく勉強が進むといいな。
[PR]
by naohito-okude | 2009-12-13 01:32 | 外国語
それは突然のことであった。昔、デザインや哲学を勉強していたときはフランス語、スペイン語、イタリア語には興味があった。すこし手も出していた。しかし、こそこそと英語の森に逃げ帰っていた。その後、英語が急に国際語になり、まあそれでいいかなとおもっていたところ、世界情勢が大きく変わり始めているではないか。アメリカの時代は終わり始めている。

中国語という選択もあるが、ヨーロッパの文化や哲学が直接気になる。またKMDの大学院生でヨーロッパやアラブからきた人間はフランス語を話す。さらに、イタリアのローカルな活動は面白い。というわけで、一気に学び直しをすることにした。昔ある程度やっていたフランス語とスペイン語、わかったようなわかんないようなイタリア語の3つだ。教材は『星の王子様』。ついでに英語と日本語の5カ国語でやってみることにした。

どうせやるなら同時にやりたい。だが、言語学者の黒田龍之助氏は『語学はやり直せる』で、複数の言語を同時に勉強してはいけない、と述べている。さてこまった。でも、彼によると、同時に始めなければいいみたいだ。そこで、時間制限をつけてやってみることに。まずは、3ヶ月ずつ3つの言語に挑戦することにする。

方法は僕が薦めている英語学習法と同じ

(1)基本的なテキストを何度も音読する
(2)テキストの付いた生の教材を繰り返し聞く。
(3)毎日新しいイタリア語、スペイン語、フランス語を聞く
(4)読書を通して語彙を増やす
(5)文法を勉強する
(6)実践で使う


で、基本的に同じ教材を使うことにした。そのまえに
(0)文法・発音の勉強
がある。いくつか入門書を手にしてみた。初級文法はすませておかないと(思い出してておかないと)まずい。CD付きのものが大分でているので比較しながら進めていくことにした。(1)は星の王子様を選んだ。日本語、英語、フランス語(これがもとだけど)、イタリア語、スペイン語で入手してCDもそろえた。まあこれ一冊を何度も読んで基本を作る。(2)もできれば同じ話を5カ国語でよんでみようとしている。アガサ・クリスティを始めいろいろでている。(4)は調べないと分からないが、まあ多読戦略をたてるくらいに言葉が出来るようになることがまずは目的だな。(5)はまあ進めていけば良い本が出てくるだろう。(6)はむしろここからはじまっているので、問題はない。

というわけで始まり始まり。

フランス語 第1日目(2009年12月12日)

まずはフランス語から。アマゾンで調べて入門書を見つけた。『フラ語入門、わかりやすいにもホドがある』を購入。著者は清岡智比古。CDがついているのでiTuneへコピー。こうした音の教材が非常に安価に手にはいるのは35年前に比べて圧倒的な違いだ。手本となる音がないと音読法は使えない。あと、薄いこと。簡単なことから勉強しないと分からなくなる。あとまあ項目わけが妥当なこと。大体30課ちょっとくらいある。ここを終了してから『星の王子様』に取りかかろう。

c0202370_20231421.jpg


発音は国際発音記号をマスターしておけば、あとはCDでどうにかなる。というか、聞いてもどうにもならないので音読による筋肉訓練だが、三カ国語学習といっても、まあロマン語系だから、似たり寄ったりだ。文法は言葉に慣れることだ。初級のレベルでは各国の違いを気にすればいい。単語は時間がかかる。なのでいそがない。

語学は時間をかけることと復習が命である。まあジャズも同じだな。あと、方法も音読と多読につきるのでみな似たり寄ったりだ。では、早速始めよう。

CDに会わせて1時間10分ちょっと。

ABC、数字、名詞、冠詞、人証代名詞、主語、指示の表現、否定の表現、形容詞、前置詞と定冠詞の縮約、ーーer動詞、疑問形、指示形容詞、疑問形容詞、所有形容詞、aller/venir、疑問副詞、疑問代名詞、動詞活用、比較級、最上級、非人称表現、命令形、人称代名詞、直接目的語、間接目的語、強勢形、複合過去(直説法)、関係代名詞、強調構文、指示代名詞、代名動詞、単純未来、en, y, le, 半過去、受動態、現在分詞・ジェロンディフ、条件法現在、接続法。だいたい第2外国語としてフランス語を習うときの初級の一年分。

これなら一日でできる、というわけで、1回目終了。これを音読メソッドによれば、100回だけど、まず最初30回で、1ヶ月続けて見よう。次回のこの項目のBlogは一週間後。
[PR]
by naohito-okude | 2009-12-12 20:25 | 外国語